1969年創業。開店から変わらぬカウンターのつけ台が、古き良きスタイルを今に残しています。ご主人は高校時代から店でアルバイトし、東京での修行を経て、2代目として店を継承。先代の父親が兄弟でやっていたことから、ご主人も双子の兄を誘って兄弟で店を切り盛りしています。

ご主人の信念は「仕事は謙虚に」。創業50年を迎えた2019年にカウンター以外の店内をリニューアル。畳のテーブル席と掘りごたつ席を備え、年配の人を中心に訪れる客に好評を得ているとか。父親が守り続けてきた店の伝統を継承しつつ、ご主人が温め続けてきた自らのスタイルを取り入れながら、常に魚と会話をしながら美味しい寿司を提供しています。

なかでも譲れないのが、ネタとシャリのバランス。新潟の地魚を中心に毎日、新鮮なネタを仕入れるほか、シャリの固さにこだわり続けています。シャリに使用する米は粒が大きい新潟市西蒲区産、酢は岩船産を使用。

シャリをしっかり噛みしめて味わってもらおうと他店よりも米を固めに炊くのが千代鮨流。米どころ新潟の米の甘みを存分に生かしたシャリに仕上げています。また、1日3回は炊き直し、常に良い状態のシャリを使って寿司を握るこだわりようです。

今回いただいたのは、並すし。マグロ、南蛮エビ、白身を中心に、その日仕入れた新鮮なネタ8貫が並びます。「最後までシャリの余韻を味わって」とご主人が話すように、ネタとシャリの一体感が絶妙。ネタもさることながらシャリの一粒一粒をしっかりと実感でき、噛むほどに米のうま味が口の中に広がります。

「明朗会計。肩肘張らずに好きなものを好きなだけ安心して食べてもらいたい」とご主人。人気のネタは、ノドグロと南蛮エビ。県外客は新潟が誇る「極み」、地元客は「おまかせ」のセットメニューをオーダーすることが多いとか。お酒のアテも目移りするほどそそられるものが目白押しなので、ランチの次はディナーに訪れてみたいもの。

2020年に双子の息子さんが誕生。「ますますやる気になり、背中で見せないと」と意気込むご主人。先代のご主人、現在のご主人、後継候補の双子の息子さん。三代共に兄弟で営む千代鮨へ。今から期待が膨らみます。